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「コンテストは自分とのたたかい」 33歳でミスコン挑戦のヨガインストラクターが見つけた“人生の軸”

2021.05.20

2021.06.12

「コンテストは自分とのたたかい」 33歳でミスコン挑戦のヨガインストラクターが見つけた“人生の軸”

ツヤのある小麦色の肌に、引き締まった身体。ヨガインストラクターとして活動する大田真理子(おおた・まりこ)さんは、「ヘルシー」という言葉が似合う女性だ。ディレクターとしてミスコン現場にかかわる筆者がミスコン出場者の葛藤と成長をお届けする連載、今回の主役は彼女。33歳でミスコンの世界に飛び込んだ真理子さんがたどり着いた「本物の美しさ」とはどんなものだったのか。

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美白より日焼け肌。自分の「好き」に正直でいたい

▲ヨガインストラクターとして多くの女性と接してきた真理子さん

「日本では、白い肌がキレイだっていう考え方が多数派ですよね。でもね、私は黒いのが好きなんです。美しさって、女性が自信をもって生きるための武器でしょ。だから美容には、世の中のスタンダードにとらわれず、自分が好きだと思えることを取り入れたいんです」

美容について情報交換をするなかで、真理子さんはそう教えてくれた。ヨガインストラクターとして幅広い年代の受講者を指導するかたわら、プライベートでは乗馬や華道もたしなむ彼女。すべての活動の軸となっているのは「目の前にあるものを一番よい状態にしてあげたい」という思いだという。

「馬は健康で毛並みも美しく、生き生きと走っているように。花は、それぞれがもつ美しさがいっそう引き立つように。乗馬にも華道にも、そんな思いで取り組んでいます。ヨガインストラクターとして指導をするときも、それは同じ。その人が健康で心地よく、素顔の自分に自信をもてるようになってほしい。その一心で活動を続けています」

▲プライベートでは乗馬をたしなむ真理子さん。馬に対する愛情は日に日に深くなっていく

心身ともに満たされている女性はいくつになってもとても美しく、愛にあふれている。ヨガを通して女性たちと接するなかで、真理子さんはそう確信していた。内面からにじみ出る女性の美しさを、もっとたくさんの人に知ってほしい。彼女がミセスのためのコンテストであるミセス・インターナショナル/ミズ・ファビュラス(以下、ミセス・インターナショナル)に出会ったのは、そんな思いが日に日に強くなっていたときのことだった。

「2018年の大会に出場した方に、お声かけいただいたんです。ミスコンなんて自分には手の届かない世界だと思っていましたから、はじめは不安でした。興味をもったきっかけは、大会の理念。ミセス・インターナショナルでは人生の軸となる社会貢献活動を『プラットフォーム』とし、その内容が審査項目のひとつになっているんです。

私の人生の軸って何だろう。美しく愛にあふれる女性をふやすために、もっとできることがあるかもしれない。普段からそう考えていた私は深く共感し、エントリーを決めました」

手応えを感じたのは「オーラの出し方」がわかった瞬間

▲くるくると変わる豊かな表情が真理子さんの魅力

見た目の美しさは、内面からにじみ出てくるもの。そう考える真理子さんは、コンテストの準備においても内面を充実させ、それを余さず表現することを追求した。そのなかで気づいたのは「コンテストは他人ではなく、自分とのたたかい」だということだった。

「コンテストは順位をつけられる競争です。だからどうしても誰かと比べて自信をなくしがち。でもよく考えてみると、それって全部自分の思い込みだと思うんです。思い込みで自信をなくすなんてナンセンスですよね。大事なのは納得するまで自分と向き合い、高めること。そしてそれを、相手に伝わるように表現できることだと思います」

自分の内面と向き合ってコンプレックスを乗り越え、成長する。真理子さんのこれまでの人生は、そのくり返しだった。学生時代には何者でもない自分に悩みながらも、イギリスやハワイに留学。当時身につけた英語力を生かして英会話講師をしたり、外国人の受講者にヨガを指導したりしている。はじめは脚が90°しか開かないほど硬かった身体も、地道なストレッチで克服した。鍵になったのはいつも、新しい世界へ一歩踏み出す勇気だったという。

「まずはやってみること。やってみると案外楽しかったってこと、よくあると思うんです。今まで知らなかった世界を知れるって楽しいし、挑戦できた自分をちょっと好きになれる。その積み重ねが、揺らがない自信につながると思うんです」

▲悩みと挑戦、成長。真理子さんの人生はそのくり返しだった

真理子さんは努力の人だ。コンテスト前には自作のポスターを配って知り合いの店などに貼ってもらい、自分を追い込んだ。毎日のストレッチやトレーニング、ウォーキングの練習、大会直前は週に一度のエステ通い。心から楽しむこと、そして「私はキレイ、最高!」と思い込むことを常に意識していた。手ごたえを感じたのは、自分の中で「オーラの出し方」がわかった瞬間だったという。

「自信があるときって、鏡で見てもすぐわかるくらいに佇まいが美しいんです。もしかすると、これがオーラなのかもって。でも、薄い自信って伝わらないし、すぐに見破られるでしょう。目標にしたのは、何度も何度も挫折を乗り越えた『200%の自信』。はじめは自己満足の薄い自信でもいいから、大会当日までにそのレベルに持っていきたい。それができれば、評価は後からついてくると信じていました」

ミスコン出場で見つけた「自分の軸」

▲30代部門のグランプリを獲得し、ステージで笑顔をみせる真理子さん

大会当日、真理子さんはすがすがしい表情で会場を訪れた。自分にできることはすべてやった。そう思えるほど心身のコンディションはよかったが、ミスコン出場は彼女にとってはじめての経験。緊張のあまり手は汗でまみれ、息がうまくできないほどだった。

しかし、ステージに上がった真理子さんからは、そんな緊張はいっさい感じられなかった。飾らない笑顔に、ボディーラインを引き立てるグレーのドレス。すっきりとまとめられたヘアスタイルが、自信にあふれた目もとを際立たせていた。その圧倒的なオーラは審査員を魅了し、彼女は同大会の30代部門であるミズ・ファビュラスのファビュラス・クラスでグランプリを獲得した。

▲グランプリの証であるティアラ。頭に載せる瞬間のよろこびはひとしおだ

「グランプリを獲得できたのは、本当にうれしかった。でもそれ以上に、大会までの過程がいとおしくなりましたね。大会出場をへて、自分に“軸”のようなものができたのを感じるんです。

自分と向き合って努力を積み重ねられたこと。新しい挑戦ができたという自信。それをたくさんの人に応援してもらえたよろこび。こうしたすべての経験が、ちょっとやそっとのことでは折れない軸を作ってくれたんだと思う。これからも、未知の世界を恐れず挑戦していきたいですね」

ミセス・インターナショナル出場をへて、自分以外の人や生き物、社会の役に立ちたいという思いが強くなったという真理子さん。ヨガインストラクターとしては、子育て支援の一環としてボランティアで子どもにヨガを教えている。また、プライベートでは引退競走馬の再調教チームに所属。引退後は殺処分されることが多かった競争馬たちが、一頭でも多くセカンドライフを楽しめるよう支援している。

自然体の魅力を表現し、グランプリを獲得した真理子さん。彼女が評価されたのは、ただ単に自信にあふれていたからではない。その裏にある尋常ではない努力と、自分と向き合い悩み抜いた軌跡が、多くの人の共感を得たのだろう。飾らない姿をさらけ出すのは勇気がいるが、だからこそありのままの女性は美しい。そう感じさせてくれたステージだった。

伊藤 桜子 Sakurako Ito

ローズ・クルセイダーズ/一般社団法人国際女性支援協会 代表理事外資系航空会社の客室乗務員を経て、外資系投資銀行勤務。Best Body Japan 日本大会グランプリ(クイーン)/ミセス・インターナショナル2015 日本代表を務めた経験を持つ。みずからの経験をもとに、年齢や立場、国籍などの枠にとらわれない女性の美を追求する。

編集協力/株式会社Tokyo Edit

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COLUMNIST

伊藤 桜子