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ミスコン出場は「恩返し」 35歳で世界に羽ばたいたミスコングランプリの葛藤と飛躍

2021.05.20

2021.06.12

ミスコン出場は「恩返し」 35歳で世界に羽ばたいたミスコングランプリの葛藤と飛躍

ミセスのためのコンテスト、ミセス・インターナショナル。2020年度のグランプリに輝いたのが、都内で女性専用パーソナルトレーニングサロン「Body Meister」を経営する和嶋真以(わじま・まい)さん(35歳)だ。ディレクターとしてミスコン現場にかかわる筆者がミスコン出場者の葛藤と成長をお届けする連載、今回の主役は彼女。仕事にまい進しながらもどこか虚しさを感じていたという真以さんが、ミスコン出場で得た“光”とは。

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心に穴が開いたような虚しさを抱えていた20代

▲顧客への感謝の気持ちが真以さんをミスコン出場へと向かわせた

「世の中にミスコンはたくさんあるけれど、私にはミセス・インターナショナルしかなかったです。見た目だけでなく、それまでの人生をまるごと評価してもらえるから。本物の美を追求したいという私の気持ちに、ぴったりとフィットするコンテストでした」

エントリーを決めたときのことを真以さんはそうふり返った。これまでパーソナルトレーナーとして個人サロンを経営し、2,000人以上の女性たちの身体と向き合ってきた彼女。仕事はたのしく、もっと女性をキレイにしたいという気持ちは高まるばかりだった。その一方で、まだまだ自分は勉強不足だとも感じていた。

「きっかけは『ミスコンとかもいいんじゃない?』という、親友の何気ないひと言でした。はじめは戸惑いましたが、ふと『ミスコンで習得した質の高い美をお客様に還元できれば、よろこんでもらえるかもしれない』という考えが頭をよぎったんです。そこからは、もう止められない(笑)。あらゆるミスコンについて調べあげ、なかでも私にとって魅力的だったミセス・インターナショナルにたどり着きました」

真以さんはもともと、プロのダンサーとして活動していた。幼少期よりバレエを習い、ダンス歴は22年にも及ぶ。よりよいパフォーマンスをするために、自分の身体には人一倍の関心を寄せていた。現在の仕事であるパーソナルトレーニングに出会ったのは、26歳のときのこと。独学で解剖学を学び、当時はまだそれほど知られていなかった加圧トレーニングも取り入れた。その後大手トレーニング会社に勤務し、全店舗No.1の売上・指名実績を残すも、顧客とより深い関係性を築きたいと33歳で独立。現在に至る。

「20代のころはずっと、本当に自分がやりたいことはなんなのかわからなかったんです。そういう相談ができるような、気を許せる友だちもいなくて。何をしていても、心にぽっかりと穴が開いているような虚しさを感じていました。 でも、パーソナルトレーニングをはじめて独立し、たくさんの出会いを経験したここ数年、はじめて心が満たされていくのを感じたんです。大切なお客様に、今度は私から恩返しがしたい。そう思ったことが、ミスコンにエントリーした一番の理由でした」

ミスコン準備、課題は仕事や子育てとの両立

▲大会に向けて、徹底的に自分と向き合う時間を大切にした

真以さんはパーソナルトレーナーであると同時に、4歳と1歳の子どもをもつ母親でもある。ミセス・インターナショナルに出場することが決まってからは、仕事と子育ての合間をぬってウォーキングやスピーチの練習に励んだ。大会直前には、まとまった時間をつくるために断乳も決断。けっして平坦とはいえない道のりだった。

特に苦労したのが、スピーチの練習だった。あがり症で、人前で話すのが大の苦手だという真以さん。自分の思いを言語化することにも慣れず、スピーチ原稿を作ろうにも言葉が出てこない。そこで彼女は母や夫の助けを借り、自分と向き合う時間を作るように心がけた。自分はどんな人間で何をしたいか、周りの人や社会のために何ができるか。子育てや仕事からいったん離れてじっくりと考えることで、思いがひとつ、ふたつと言葉になっていった。

▲日本大会当日、さわやかなブルーのドレスに身を包んだ真以さん
▲2人のグランプリによるファーストウォーク。会場は拍手に包まれた(左)

「すべての女性に、人生を思いっきり楽しんでほしい。これが私のやりたいことなんだって、あらためて確信しました。同時に、自分の身体と向き合ってこまめにメンテナンスすることが、自由な生き方を可能にするって信じている。ミセス・インターナショナルが私の信念を後押ししてくれたようで、とても心強く感じました」

そうして迎えた日本大会当日。真以さんはさわやかなブルーのドレスを着こなして、ステージに立っていた。ダンスで培ったしなやかなポージングと、まっすぐで熱のこもったスピーチ。母親らしいやわらかさのなかに、芯の強さを感じさせる表情。どれをとっても彼女らしく魅力的で、審査員席の話題をさらった。結果はミセス・インターナショナル 日本大会のグランプリを獲得。新型コロナウイルスの感染拡大によりあやぶまれたアメリカ大会への出場も、2021年に叶う運びとなった。

「身体と向き合うことの大切さ」を広めるために

▲ボランティアで訪れたカンボジアの病院での一枚

ミスコンに出場したことで自信がつき、「私にはもっとできることがある」という思いが強くなったという真以さん。大会後は定期的にカンボジアにわたり、ボランティアで現地の病院で働く女性たちの身体のケアを行っている。新型コロナウイルスの影響が深刻になってからはオンラインでトレーニング指導をしたり、寄付をしたりすることで彼女たちをいたわった。

「身体をマッサージすると『気持ちいい、気持ちいい。オークン(ありがとう)』と、とてもよろこんでくれるんです。カンボジアでは医療従事者が足りず、看護師さんの手が回らないところは患者さんの家族にカバーしてもらっているほど過酷な状況。忙しくて自分の身体をケアする時間を持つのが難しい彼女たちを、少しでも癒せたらという思いで続けています。

社会貢献活動に正解はないし、必ずしなくてはならないものでもない。まずは、自分に何ができるかを考えてみることが大事なんじゃないかな。それが自分の人生の可能性も広げてくれるし、みんなが豊かに生きられる世界の第一歩になると思います」

女性は仕事や家事、育児などに忙しいうえ、ホルモンバランスの影響で体調が不安定になりがちだ。真以さんはそんな女性たちに、1日たった5分でも自分の身体を見つめ直してほしいという。身体をいたわれば心も整い、女性は本来の力を発揮できる。いくつになっても前向きに人生をたのしめるのだ。彼女はこれからも、そのことを発信していきたいという。

自分を愛し、人によろこびを与え、愛を循環させる。ステージに立つ真以さんからは、そんな彼女の生き方がにじみ出ていた。グランプリ受賞は、性別や年齢を問わず、たくさんの人たちがそれに共感を呼んだ証だ。私もその1人として今一度、惜しみない賛辞を送りたい。真以さんは今年7月、アメリカ・テネシー州で開催されるミセス・インターナショナル世界大会の舞台に立つ。その日私たちは、共感の輪が世界へと広がっていく様子を目の当たりにするだろう。

伊藤 桜子 Sakurako Ito

ローズ・クルセイダーズ/一般社団法人国際女性支援協会 代表理事外資系航空会社の客室乗務員を経て、外資系投資銀行勤務。Best Body Japan 日本大会グランプリ(クイーン)/ミセス・インターナショナル2015 日本代表を務めた経験を持つ。みずからの経験をもとに、年齢や立場、国籍などの枠にとらわれない女性の美を追求する。

編集協力/株式会社Tokyo Edit

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COLUMNIST

伊藤 桜子