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自信ゼロ、いつもビクビク。超マイナス思考だった私が見つけた「自分を好きになる方法」

2021.12.13

2021.12.10

自信ゼロ、いつもビクビク。超マイナス思考だった私が見つけた「自分を好きになる方法」

自信ゼロ、自分がキライ――現在30代後半の私は、20代までそんな人間だった。人から嫌われたくないといつもビクビクしていた。やりがいのある仕事も気心知れた友達も、自由に使えるお金や時間もある。でも心はどこか晴れず、本当の自分には価値がないように感じていた。そんな私の人生が好転したのは、31歳のとき。ある出来事をきっかけに「ありのままの自分を受け入れる」という感覚をつかみ、驚くほど生きやすくなったのだ。この記事ではその経緯を振り返りながら、自信のない人が自分を好きになる方法について考えてみたいと思う。

「嫌われないように」が言動の基準。友だち付き合いに自信がなかった学生時代

自信に満ち溢れていた幼少期

自信のなさに悩んでいた私だが、生まれたときからそうだったわけではなかった。幼少期はむしろ、自信に満ち溢れていたと言ってもいい。どろんこ遊び、アスレチックや水遊び、そしてほめられることや目立つことが大好きな、無邪気そのものの少女だった。風向きが変わったのは、小学校高学年の頃。クラスで孤立したのだ。移動教室は1人で行動し、お弁当の時間もやっぱり1人。クラスメイトはいても、仲のいい友達はいないと感じていた。

内緒話が聞こえると自分が笑われていると思い、たまに一緒にいてくれる子がいても、うれしさより申し訳なさが勝った。嫌われないように、波風立たせないように。その一心で、教室ではいつも身を縮めて過ごしていた。ちょうど両親が病気になったばかりの頃で、家族に相談することも憚られた。

高校生になると、以前よりも集団生活に溶け込めるようになっていた。少し前向きになった私はスポーツに打ち込んで学生生活を楽しもうと、ダンス部に入部した。周りと比べて上達は遅かったが、同期とともにハードな練習を乗り越え、県大会では銀賞を受賞。傍目には充実した学生生活を送っているように見えたかもしれない。しかし心の中はいつも不安だった。「足を引っ張ればまた嫌われてしまう」「この場ではどんな発言をするのが正解なんだろう」……踊っていても友だちと笑い合っていても、内心そんなことばかりを考えていた。

高校ではダンス部に所属。練習に打ち込んでも心は不安だった

大学に進学するとテニスサークルに所属したが、不安は消えなかった。楽しい雰囲気で優しい動機や後輩、先輩にもかわいがってもらっていても、孤立した経験に過去にうまく友だち関係を築けなかったことが重なり、自信がどんどん削がれていったのかもしれない。青春の1ページである部活動もサークルも、嫌われないように必死だった。

仕事は楽しい、でもどこか満たされない。迷いの20代、そして訪れた“転機”

4年間の大学生活はあっという間に過ぎ、私は社会人になった。就職したのは広告業界。今度こそキラキラと輝く女性になりたいと息まいていた。仕事は楽しかった。上司や先輩、後輩に恵まれ、自分の考えたキャッチコピーが世に出るなど目に見える成果も上げられた。しかし「嫌われないように」という気持ちは、まだ消えなかった。その気持ちゆえに「気配りのできる人」と評価される反面、周りを頼れず仕事を抱え込んでいた。毎日のように残業をこなし、プライベートはないも同然だった。

そんな中でもいくつかの恋愛をしたが、どれもまったくうまくいかなかった。「嫌われないように」と思うばかりに、誰かのテンプレートのような言動ばかりをしていたことが、その一因だと思っている。自分で自分を信じていないのだから、他人が私を信じきれないのも自然なことだ。やりがいのある仕事もあるし、楽しく過ごす友だちもいるし、自由に使えるお金や時間もある。でも、恋愛はできていない――。大切なパートナーがいない自分には価値がないように感じ、常に心はどんよりと曇っていた。自分を変えたい。周りに左右されずにもっと軽やかな気持ちで生活したい。そんな気持ちは日に日に強くなっていった。

そんな私に転機が訪れたのは、31歳のときだった。「しあわせな人生を送るには、自分への価値観を変えなければ」と気付き、「自尊心」を育む講座に参加したのだ。まずは自分自身が「ありのままの自分」を受け入れ、わたしの存在そのものに価値があると認める。どんなに小さなことでも「できた自分」をほめる。今生きている自分に感謝する――講座で行われるワークの内容は、それまで周囲からの評価=自分の存在価値だと思っていた私には衝撃的だった。大したこともしていない自分を自分でほめるのも、なんだかこそばゆい。でも、これが人生を変えるラストチャンスかもしれない。そう思って素直に従ってみた。

ワークをはじめて1~2か月が経ったころ、変化があらわれた。言葉にするのが難しいが、自分を大切にする気持ちや「自分は唯一無二の存在なのだ」という思いが、日常生活の中で自然にわいてくるのを感じたのだ。変化はふだんの言動にもあらわれた。たとえば仕事でトラブルが起きたとき、これまでの私は犯人探しに躍起になり、最後には「その原因を作ったすべての原因は私だ」と落ち込んで終わるのがお決まりのパターンだった。自分や誰かを責めることでしか、問題を解決できなかったのだ。それが講座を受けたあとは誰を責めるでもなく、起きた出来事だけにフォーカスして解決策を見つけ出せるようになった。ストレスが格段に減ったことは言うまでもない。

環境も起きる出来事も変わらないのに、見える景色はまったく変わっていた。私の中で、物事の受け止め方が変わったのだと思う。「1人でがんばらなきゃ」と肩肘張っていた気持ちも和らぎ、周りからの厚意を素直に受け取れるようになった。現在の夫と付き合うことになったのは、ちょうどその時期のことだった。不思議なめぐり合わせのようだが、自分で自分を満たせるようになったから、つぎは大切にし合えるパートナーがあらわれたと考えると、出会うべくして出会ったのかもしれない。

世間の期待通りに生きなくてもいい。人生を前向きに、思い切り楽しもう

家族団らんのひととき

そして今、私は一児の母となり、家族3人で暮らしている。以前のように強迫的に「嫌われないように」と思い続けることは減ったが、気分の波はある。よくないことが起きると「周りからどう思われるかな」「自分なんて何をする資格もない」という感情に飲み込まれそうにもなる。

変わったのは、その状況に自分で気づき、マイナス思考に陥っている自分をまるごと受け入れられるようになったこと。ああ、今はちょっと気分が沈んでしまったんだ。辛かったね。好きなことをしてやりすごそう――そんなふうに自分と対話しているうちに、いつの間にか気持ちは持ち直していた。

妻、母、ビジネスパーソン、そして1人の女性。さまざまな役割を持って生活を送るうちに、世間には「価値観の押しつけ」が驚くほど多く存在することに気がついた。いい妻・母親とはこうあるべき、素敵な女性とはこうあるべき、デキるビジネスパーソンとはこうあるべき……社会生活のあらゆる場面で、女性たちはそう思い込まされていく。実際にその「こうあるべき」に応えようと、苦しんでいる女性とたくさん出会ってきた。かつての私とまったく同じだ。

でもよく考えてみれば、世間の期待通りに生きる必要なんてまったくない。「世間一般からはちょっと外れていても、これが私らしい生き方だ」と、自分を肯定してあげてほしい。堂々と自分の価値観で生きている人は、周りもしあわせにできる。確固たる自信なんか、なくてもいい。「嫌われたくない」――そんな気持ちが消えてしまうほど、人生を思い切り楽しんでみよう。この記事を参考に物事の見方を少し変え、自分を好きになれる女性が1人でも増えればと願っている。

著者紹介

野崎友香 Yuka Nozaki ● 1983年生まれ。母、妻、ビジネスパーソン、そして1人の女性として「人生を欲張りに楽しむ」ことをモットーとしている。ミセス・インターナショナル/ミズ・ファビュラス2021 AC HOTEL Ambassador賞受賞。

編集協力/株式会社Tokyo Edit

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COLUMNIST

野崎 友香