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写真映りがが劇的によくなる!現役フォトグラファーが教える「写真の撮られ方」

2021.12.07

2021.12.04

写真映りがが劇的によくなる!現役フォトグラファーが教える「写真の撮られ方」

写真映りに自信がないという人は多いが、それは「撮られ方のコツ」を知らないからだ。プロの写真家としてこれまで500名以上の女性を撮影してきた横山 春菜さんによると、撮影場所や表情・ポーズ、メイクをちょっと工夫するだけで写真映りは各段によくなるという。もちろん、プロが使うような撮影機材は不要。今日からできる写真映りアップのコツを、横山さんに聞いた。

口角上げ&利き顔で3割増しの美人顔に

緊張すると、つい表情がこわばってしまう人がいる。私もその1人だが、改善するにはまず緊張を解くことが必要だ。表情にはそのときの気持ちが鮮明にあらわれる。自然で明るい表情でカメラの前に立ちたいなら、リラックスして楽しい気持ちでいることが大切なのだ。最初は無理やりにでもいいから、口角を思い切り上げて笑ってみよう。顔の表情筋がほぐれてきたら、「おいしい~」「楽しい!」と声に出して言ってみよう。すると不思議なことに、本当に楽しい気持ちになってくるのだ。何度もくり返し声を出すうちに、肩の力もすっかり抜けているだろう。

コツは、意識を「外向き」に変えることだ。緊張しているときは、知らず知らずのうちに意識が内向きになっている。すると「ちゃんと笑えているだろうか」という不安が表情にもあらわれてしまう。内向きの意識を外向きに変えるには、自分以外のものに注目してみよう。顔を少し上げて、周りの景色を眺めるだけでもいい。屋外での撮影なら「風が気持ちいい」「かわいい子どもが歩いている」「街路樹の色が変わってきた」など、意識を外向きに切り替えるのを助けてくれる要素がたくさんある。

人と話すことも、意識を外向きに変えるのに役立つ。会話の中で自分では気づかなかった新たな視点が生まれ、緊張や不安に取りつかれていた意識を自由にしてくれるのだ。撮影なら、フォトグラファーという打ってつけの相手がいる。撮影の合間に「どんな表情をしたらいいですか?」「どこに手を置けば、動きのある写真になりますか?」などと質問してみよう。ポージングの提案をしてもらって、アイデアの引き出しを増やすのもいい。

意識が外向きに切り替わったら、いよいよ表情を整える準備に入る。まずはスマートフォンで「自撮り」をして、次の3つのポイントをチェックしてみよう。

1.口角が上がっているか

満面の笑顔をカメラに向けたはずなのに、写真を見ると笑顔が今ひとつだったという経験はないだろうか。素敵な笑顔のポイントは「口角」。口角が上がっていないとどこか不満げな表情になり、口を大きく開けても魅力的な笑顔には見えないのだ。

とはいっても、ふだんから訓練していないといざ撮影となっても口角は上がらない。私はコンテストのプロフィール写真撮影に向けて表情筋トレーニングを行い、口角を上げる訓練をすることにした。教えてくれたのは、都内で表情筋美肌サロン「Sparkle Smile Labo」を運営する飯野浩世先生だ。トレーニングの甲斐あって、いくら笑っても下を向いていた私の口角は1ヶ月で上向きに。写真映りも劇的に改善した。

2.「利き顔」を正面に向けているか

多くの人は顔が左右対称ではない。目の大きさ、フェイスライン、口の形……中心線を境に左右を見比べてみると、少しずつ違っているはずだ。だからどんな角度でカメラに顔を向けるかで、印象がまったく変わってくる。

鏡に自分の顔を映したら、首を左右に回していろいろな角度から見てみよう。角度によってシャープだったりやさしげだったりと、印象の変化に驚くはずだ。なかでも「この顔は割と好きだなぁ」という角度はなかっただろうか? それがいわゆる「利き顔」だ。カメラを向けられたらすぐにポーズが取れるよう、顔や首の角度を覚えておこう。回を重ねるごとに、いい感じの顔で写真に映れることが増えてくるはずだ。

3.左右差が目立たないポーズが取れているか

「利き顔」で写真に映るには、身体全体のポーズも重要だ。腕や脚の置き方、身体のひねり方などを変えると、顔の角度も自然と変わってくる。大抵の人は正面を向くよりも、身体をひねって少し斜めからレンズを見るようにしたほうが、顔の左右差が目立ちにくくなる。右斜めか左斜めか、またどのくらいの角度がベストかは人によって違うので、はじめのうちはとにかくいろいろなポーズを試してみよう。

身体をひねるとウエストのラインが強調されてスリムに見えたり、脚が長く見えたりする効果もあり、一石二鳥だ。ただ真正面を向いているよりも動きが出て、インパクトのある写真にも仕上がりやすい。

-3キロやせ見えできるポージングのコツ

年齢とともに、どうしても気になってくる二の腕。顔に近い二の腕に存在感があると、身体全体までボリューミーに見えてしまいかねない。しかし写真では、工夫しだいで二の腕を細く見せられる。具体的には、二の腕を身体から離すようにポーズを取るといい。腰に手を置くポーズなら、自然と二の腕が身体から離れてお勧めだ。どんなポーズでも、背筋はしっかりと伸ばしておこう。少し斜めに構えればウエストのラインが強調されて、さらにスタイルがよく見せられる。

同じことは、二重アゴにも言える。二重アゴで悩む人にとって、下からの角度は鬼門だ。アゴが強調され、二重どころか三重、四重というほどひどく映ってしまう。顔のバランスを見ながら、フォトグラファーに少し上からカメラを構えてもらおう。盲点になりがちなのが、姿勢だ。姿勢を正さずにいると首や肩のラインが崩れ、それにつられてアゴもたるんだままになる。首をまっすぐに立て、左右の肩甲骨を寄せるように胸を張ろう。舌を上アゴにくっつけるようにすると、アゴのスッキリ感がさらにアップする。

ポージングとともにぜひ押さえておいてほしいのが「光の方向」だ。カメラマンは照明器具を持参して光をコントロールしたりするが、写真映りにおいて光というのはそれほど重要なもの。光の方向を変えるだけで、同じ人が驚くほど若く生き生きと映ることもあれば、一気に老けて映ることもある。カメラマンがいない自撮りのときは、なおさら光に意識を向けることが大切だ。

若々しく写真に映りたい人が絶対に避けたいのは、斜め上からの強めの光だ。この方向から光が当たると顔の凹凸に沿って濃い影ができ、ほうれい線やマリオネットライン、ゴルゴ線などの年齢サインが強調されてしまう。その結果、一気に老けて見えるのだ。こんな恐ろしい事態を回避するためにも、撮影のときには斜め上から光が当たらないよう、撮影場所やポージングを工夫しよう。

どうしても斜め上からの光が避けられないときに重宝するのが、レフ板だ。撮影の前にはぜひ用意しておこう。レフ板といっても、プロが使うような大がかりなものは必要ない。2000円程度のものでも十分使えるし、100円均一ショップなどで手に入るカラーボードや段ボールにアルミホイルを貼って自作してもいい。影が気になったら、斜め下から光を反射させて顔に当てるイメージで置いてみよう。それだけでシワが気にならなくなり、写真映りが格段によくなるのがわかるはずだ。

「写真映えする顔」はメイクで作れる

鏡で顔を見たとき「この部分、なかったらいいな……」と思う箇所はないだろうか。光を当てるとシワが目立たなくなる半面、あってほしい影までなくなってしまう。顔の縦・横幅、ハチ、エラ。こうした部分が膨張して、目立って見えることもある。しかし心配はご無用、光を作ったなら影も作ってしまえばいいのだ。メイクのときに、気になる部分にシェーディングを入れてみよう。写真映えメイクのコツは、自分が思う2倍の濃さ。肉眼で見ると「濃いかな?」と思うくらいの濃さが、写真では自然な影に見える。顔の縦幅が気になる人は、アゴの下にシェーディングを入れるといい。顔がキュッと引き締まり、若々しい印象になる。

シェーディングは顔のホリを深く見せたいときにも使える。入れるといいのは眉下から鼻筋にかけてのラインや、涙袋の影の部分。写真では向かって右のみ、これらの部分にシェーディングを入れている。顔にメリハリが生まれて小顔に見え、「顔が平面的に写る」という写真の弱点をカバーしてくれるテクニックだ。

影を作ったら、それに沿って光も強調しておこう。ふっくらと見せたい部分、ハリ・ツヤを演出したい部分にハイライトを入れていく。レフ板からの光を受けて輝くよう、パールやラメなどが多く含まれたものを選ぶといい。額や眉上、鼻筋、頬の高くなっている部分、目の下などにハイライトを入れていこう。肌にハリ・ツヤ感を出すと同時に、シワやシミなども目立たなくしてくれる。

目のまわりのクマやくすみ、血色の悪さが気になる人は、シェーディングやハイライトを入れる前にコンシーラーで隠しておこう。これもいつもより濃いめに塗ってもOK。リップメイクが今ひとつ決まらないと感じる人は、くちびるにコンシーラーを塗るのも手だ。くちびるの色がリセットされてリップの発色がよくなり、顔がパッと明るくなる。血色を足してくれるという点では、チークを使うのもいい。お勧めは、肌なじみがいい明るめのコーラルピンク。ひとはけするだけでほおがふっくらと見え、しあわせ感が演出できる便利なアイテムだ。

仕上げは目のメイクだ。目は全体の印象を左右する大事なパーツだが、写真ではまぶたや涙袋などの影が光で飛び、のっぺりと平面的に見えてしまいやすい。メイクで陰影をつけて目立たせ、写真映えする顔を目指してほしい。目のまわりにメイクをすることで顔の余白が減り、小顔に見えるというメリットもある。ぜひ使ってほしいのが、つけまつげだ。自まつげにマスカラを塗るだけでは、どうしても限界がある。その点つけまつげを使えば、長さもボリュームも自由自在だ。長いまつげが目のまわりに作る影が、表情や雰囲気まで素敵に見せてくれる。目尻にボリュームがあるもの、黒目の上にボリュームがあるものなどたくさんの種類があるので、なりたいイメージに合わせて選んでみよう。

◆ ◆ ◆

「写真映りが悪い」は解消できる――。フォトグラファーとして500名以上の女性を撮影してきて、確信したことだ。しかし、写真がキライだという女性は驚くほど多い。写真に映った自分は鏡で見るよりも“ブサイク”でコンプレックスが目立ち、見るのがツラいというのだ。実際に会うととても若々しくてキレイなのに、写真では別人のように冴えない人というのはたしかにいる。それは、この記事で紹介したような「撮られ方のコツ」を知らないからだ。ちょっと工夫するだけで写真に本来の美しさがあらわれ、自分の顔やカラダをもっと好きになれる。

かくいう私も、写真映りに悩む1人だった。フォトグラファーという職業についていながら、撮られる側となると逃げ出したい思いになる。いつにも増して目が小さくエラが目立ち、ほうれい線がクッキリとした写真の私。そもそも、私の写真なんてどうでもいいのではないか。笑顔になるのも恥ずかしい。ネガティブな気持ちで写真に映り、出来上がりを見てはガッカリするという経験を繰り返すうち、「私は撮る専門」だと思うようになった。

しかし、そんな私に転機が訪れた。周りからの薦めで応募したミセスコンテスト「ミセス・インターナショナル/ミズ・ファビュラス」のファイナリストに就任し、写真を撮られる機会が増えたのだ。カメラから逃げられなくなった私はとうとう腹をくくり、写真映りをよくする研究を始めた。そんなある日、撮影してもらった写真を見て驚いた。そこに映る私は、今まで見たことがないほど自然な笑顔で、生き生きとしていたのだ。写真をSNSに投稿すると、「輝いているね」「変わったね」といううれしいコメントが相次いだ。

撮る側と撮られる側の両方を経験した私だからこそ、写真映りに悩む女性のためにできることがあるのではないか――。そんな思いからまとめたのが、この記事だ。写真映りがよくなれば、カメラの前に立つことを心から楽しめるようになる。そんなポジティブな気持ちがあなたをより輝かせ、撮られるのがどんどん上手になる。「あれ、私ってこんなにキレイだったっけ?」写真を見て人知れずそうつぶやく日も近いかもしれない。写真映りを通して自信を取り戻し、毎日をもっと前向きに過ごせる女性が増えることを心から願っている。

著者紹介

横山春菜 Haruna Yokoyama ● 写真家・デザイナー。大学で物理学を学んだのち、大手出版社勤務を経て独立。企業や行政のクリエイティブ制作、ビジネスサポートや助成金・補助金のアドバイスも手がけるかたわら、公式サイトInstagramでの情報発信を行う。趣味は生け花。ミセス・インターナショナル/ミズ・ファビュラス 2021 ファイナリスト。

編集協力/株式会社Tokyo Edit

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COLUMNIST

横山 春菜