Body makeup

頭皮から顔、首・肩周りまでゆるめて美しく。プロが教える「上半身のご自愛ボディケア」4ステップ

2021.10.25

2021.10.23

頭皮から顔、首・肩周りまでゆるめて美しく。プロが教える「上半身のご自愛ボディケア」4ステップ

毎日のようにスマートフォンやPCを使う生活は、無意識のうちに身体に負担をかけている。眼の使いすぎからくる眼精疲労や、うつむく姿勢を長時間続けることによる“スマホ首”、仕事の緊張からくる噛みしめや歯ぎしりなどは、その最たるもの。病院に行くほどではないと放置していると、思わぬ不調の原因になることもある。朝のメイク前や夜のスキンケアにセルフケアを取り入れて、その日の疲れを解消しよう。

4ステップで簡単! 上半身の「ご自愛ボディケア」

セルフケアをするのに必要なのは、あなたの手だけ。肌や身体に負担をかけないよう、指の腹を使うようにしよう。このとき、指に力を入れないように気をつけて。肌や身体に負担を与えるだけでなく、手首を痛めることも。指に力を入れて押すのではなく、押したいポイントにじんわりと重力をかけていくイメージで。

1.頭皮をゆるめる

ふだんから頭皮の血流量が多い人は、髪がしっかりと太く、ハリやコシが多い傾向にあるという。頭皮マッサージはそのためのケアにピッタリ。年齢とともに髪のトラブルが増えてきたと感じる人は、ぜひ習慣にしてみよう。

やり方は簡単で、髪の生えぎわを両手の5本の指の腹をあて、クルクルと円を描くように動かすだけ。指を置く位置を少しずつずらしていって。ポイントは、指先の位置を動かさずに、頭皮を押した状態を保ちながらマッサージすること。爪を立てたり頭皮を指でこすったりすると、髪や頭皮にダメージを与える原因になるので注意して。下から上に指を押しあてるようにすると、力をかけやすくてお勧め。生えぎわだけでなく、耳まわりや頭頂部など、気になるポイントを自由に押していこう。

2.おでこ・目まわりの緊張をゆるめる

1日じゅうパソコンやスマホの画面を見ていると目まわりの血行が悪くなり、クマや疲れ目の原因になることも。おでこや目まわりのケアで、生き生きとした目もとを取り戻そう。眉間に両人差し指の側面をあてて、耳に向かって広げるように動かしていく。ふだんからおでこが重く感じる人は、眼のくぼみの目頭に近い部分に親指を差し込むようにあてて押すのもいい。圧を強めたいときは少し顔を下に向けて、指に頭の重みをのせるようにしてみよう。

つぎは、頭蓋骨の中心にある「蝶形骨(ちょうけいこつ)」へのアプローチだ。まず両中指の腹を、目頭と目尻から5〜8ミリ外側のポイントにあてる。そのまま指と指を引き寄せるように圧をかけ、少ししたら指を離そう。慣れてくると、セルフケアの前後で筋肉の張り方が違うのがわかるようになる。蝶形骨は間近に視神経が通っているほか、口の開閉にも深く関わっている。目の疲れだけでなく身体全体のケアにお勧めしたいケアだ。

3.噛み締めの緊張をゆるめる

お仕事中、お休み中に、歯ぎしり、噛みしめ、喰いしばりはしていないだろうか。噛む力は成人で自分の体重と同程度と言われている。咀嚼(そしゃく)筋だけでなく、周囲の筋肉まで緊張して動きが悪くなり、フェイスラインの崩れやゴルゴラインの目立ち、口角の下がりも引き起こしかねない。セルフケアでこまめにゆるめよう。

まず、ほおに手をあてながら、歯をグッと噛みしめてみよう。ボコッと盛り上がったところが、咬筋の位置だ。そこと耳の後ろ(乳様突起の骨の窪み)に指の腹をあてて、小さく円を描くように動かそう。反対側も同じように。

ケアが終わったら、耳たぶのすぐ前あたりに両手の指の腹をあてて、上あごと下あごの骨の隙間を探してみよう。指のはまるような感覚があれば、正解の位置。左右で隙間の小さいと感じるほうがあれば、さらに小さく円を描くように動かして。左右差がなくなったら、咬筋がほぐれたサイン。なかなか凝りがとれない人は、小鼻と咬筋の2点に指の腹をあてて指と指を引き離すように動かしたり、両耳をつかんでグルグルと動かしてみると、咬筋がほぐれやすくなる。仕上げに周囲の表情筋もゆるめておこう。親指の腹をほお骨のきわに押し当て、左右に位置をずらしながら圧をかけていけばOKだ。

咬筋と同じくあごの噛み締めにかかわるのが、あごの裏側にある顎二腹筋という筋肉だ。歯ぎしりのある方はこの部分に負担がかかっていることが多いので、ぜひケアをしてほしい。あごの裏側に両親指の腹をあて、下から押し上げるように圧を加えてみよう。下顎の骨に沿って親指の位置を少しずつずらし、気持ちのよいポイントを探すとよい。

4.首・肩まわりの緊張をゆるめる

最後は疲れを実感しやすい首・肩まわりのケアだ。こまめにケアをすることでネックラインを美しく保てるうえ、付近の血行もよくなってつらい「こり」やそれに伴う頭痛の緩和も期待できる。

まずは首を曲げたり回したりするときに使う胸鎖乳突筋へのアプローチだ。胸鎖乳突筋はリンパ節が集中している部分でもあるので、顔のむくみの気になる人におすすめだ。耳の下あたりの筋を手でつかみ、首を左右に回転させてみよう。筋がグルグルと動いている感じがしたら、正しいポイントをつかめているサインだ。そのままつかむ場所を少しずつ上下にずらし、頭を左右に回転させる。反対側も同様に行おう。首の前側は神経の束や頸動脈が通るデリケートな場所。けっして強く力を加えず、軽く刺激を与える程度にとどめておいて。

仕上げは肩と胸とをつなぐ小胸筋へのアプローチだ。猫背が気になる人は、この小胸筋の緊張によって肩関節が内側に来ている「巻き肩」が原因であることも多い。しっかりとケアして姿勢をリセットしよう。

まず鎖骨のすぐ下に親指が来るように手の平をあて、流すように刺激を与えながら肩関節までずらしていく。そのまま胸の上や鎖骨の上側などにも手をずらし、気持ちのよいポイントを探しながら圧を加えていこう。胸の肩関節の内側は指でつかんで揉むように動かすのもよい。反対側も同様に。胸まわりをケアするときは、腕をあげてしこりがないかどうかも確認しておくと、乳がんのセルフチェックにもなって一石二鳥だ。

◆ ◆ ◆

セルフケアは心身との対話だ。「今日も1日お疲れさま」という気持ちで、自分で自分をいたわってあげてほしい。いつもよりも疲れていると感じるときは、とっておきのボディクリームを使ったり、アロマオイルなどで部屋をリラックス効果のある香りで満たしながらケアをして、自分を甘やかしてあげるといい。そうすることで、心にも自然と余裕が生まれてくる。

私は心の余裕こそ美しさであり、大人の女性ならではの魅力のひとつだと考えている。自分で自分を「ゴキゲン」にする術を知っていなければ、心の余裕は生まれないからだ。ネガティブな感情を周囲に処理させるのではなく、自分自身で無理なくポジティブに変換する。それは周りの人への愛であり、社会で生きる上で最低限の気配りではないだろうか。

また、年齢を重ねるほどに、その人の生き様が外見にあらわれてくるものだ。ココ・シャネルは「20歳の顔は自然から授かったもの。30歳の顔はあなたの生き様。だけど50歳の顔にはあなたの価値がにじみ出る」と言ったそうだが、では自分の価値を高めるいい生き様とはどのようなものなのか。私は自分と向き合って長所も短所も受け入れ、人生そのものを愛せるような生き方だと思っている。

セルフケアは愛と気配りにあふれ、自分の人生を肯定できる女性になるための身近な方法だ。私もセラピストとして1人でも多くの女性にセルフケアを広め、この愛の輪を世界じゅうに広げる小さな力になれればと願っている。そうそう、セルフケアを終えたあとはぜひ鏡の前で口角を上げてにっこりと微笑んで。あなたの笑顔はどんな言葉よりも明るく、世界を照らすものだから。

著者紹介

大林 理絵 ● Rie Obayashi セラピスト。ウェディングプランナーとしてキャリアを積むなかで心身の健康の大切さに気づき、セラピストとして起業。京都府で紹介制サロン「Rie Body Design Atelier」を運営し、ハワイの伝統療法であるロミロミをベースにしたオリジナルの手技を提供している。すべての女性が自分らしく幸せに生きる社会の実現を目指している。プライベートでは2人の男の子の母。ミズ・ファビュラス2021準グランプリ受賞。

編集協力/株式会社Tokyo Edit

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COLUMNIST

大林 理絵